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「地域をコミュニティで溢れさせたい」石井秀和・南荘石井事務所代表の想い

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珈琲の香りでよみがえる淡い記憶。何気なく仕事の合間に飲むときも、喫茶店でくつろぎながら飲むときも、あの人にとっては特別な瞬間だったのかも。

今回は、武蔵新城で不動産経営をしながら、エリアリノベーションの観点で街づくりに取り組む石井秀和・南荘石井事務所代表にお話を伺いました。

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1975年11月、川崎市中原区出身。株式会社南荘石井事務所代表取締役。武蔵新城で400年続く農家の家系に生まれ、曾祖父の代から続く不動産賃貸業を継ぐ。多目的広場「PASAR SHINJO」やカフェ「新城テラス」の開設を皮切りに、街のイベント企画や情報発信を行い、コミュニティ形成を意識したエリアリノベーションに取り組む。
目次

珈琲を飲むきっかけは事業の建て直し?!

――(編集部)まず初めに、皆さんに聞いているのが珈琲にまつわるお話なのですが、石井さんはご自身の物件でカフェも経営されているということで、何か思い出などありますか?

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石井:思い出なんてないんですよね、僕の場合は。笑 珈琲が嫌いで飲めなかったんですよ。例えば車を長距離運転するときに、カフェオレを甘くして飲むのがせいぜいで、ブラックなんて絶対飲めなかった。両親は珈琲が好きだったんですが、僕は本当にダメで、飲むと気持ち悪くなる。それなのに、カフェを始めなければいけなくなっちゃったので・・・。

――(編集部)始めなければいけなくなっちゃった?!笑

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石井:はい。僕がこの仕事を始めたのが2000年なんですけど、家賃は徐々に下がっていくし、都心から田舎に帰っていく人しかいない・・・。自分の物件がどんどん空いていくのを目の当たりにしていました。そんな状況から、「どうにかしなきゃ」と思っていたんです。

そこで、当時ちょうど出始めていたコミュニティ型の賃貸マンションに活路がないかと思い、色々と学び始めました。ウチの物件の大規模改修が始まっていたので、住人が集まれるコミュニティスペースを作りたいなと考えていたんです。それから「路面に開いて近くの物件の人たちも来れるようにした方がいいよね」とか、「それだったら、街の人たちが使えるようにした方がいいよね」みたいな話になって。最終的に、カフェをやることになったんですよ。これが最初のきっかけ。

人とつながるという仕事の仕方をしていなかった大家さんが、ビジネスをコミュニティ型に寄せていく中で、何を最初にやれば良いかと考えた結果がカフェだったんです。

――(編集部)それがきっかけで珈琲を飲めるようになったんですね。

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石井:いや、飲むしかないじゃん!笑 店舗作りをしていた中で、最初は珈琲の試飲が地獄だったんですけど、飲み始めたら味の違いが面白くなっちゃって。結果、珈琲を飲むようになっちゃいました。

仕事は、笑顔で活動できる場所や機会を提供すること

――(編集部)石井さんが今、アツい想いを持って取り組んでいる活動などはありますか?

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石井:地域をコミュニティで溢れさせたいなと思って活動してます。よく「地域コミュニティ」って言いますけど、“地域”と“コミュニティ”って分けて考えた方がいいなと感じているんです。“地域”ってエリアの定義だと考えていて、その場所に住んでる人たちを一つにまとめるのは絶対無理じゃないですか。でも、“コミュニティ”はどちらかというと、目的とか趣向とかが似通った人たちの集まりのイメージなんです。目的意識があって、そこの部分ではまとまれる。そういう意味で、コミュニティは一つになれる可能性が高いと思っているんです。

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石井:そう考えた時に、「地域をコミュニティで溢れさせる」が正しいんじゃないかなっていう気持ちになってきて。地域の中に沢山のコミュニティを作って、その人たちが笑顔で活動できる場所や機会を提供するのが僕の仕事です。コミュニティを地域に溢れさせることで、何にも所属していない人をできるだけ少なくする。ゼロは難しいと思うけど、できるだけ少なくすることで、地域の中で孤独感、疎外感に苛まれる人を減らしていきたいという思い。そして、沢山コミュニティができると、複数のコミュニティに所属する人が出てくる。そういう人が個々のコミュニティを繋ぐ人になると思うんですよ。

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――(編集部)川崎市が取り組んでいるSDC(ソーシャルデザインセンター)※もまさに近いものがありますね。

※SDC(ソーシャルデザインセンター):多様な主体の連携により、市民創発によって課題解決する区域レベルの新たな川崎市のしくみ。人や団体・企業、資源・活動をつなぐコーディネート機能とプロデュース機能や人材育成等の機能を持つ。

石井:そうそう。SDCみたいな役割の人が増えてくると、地域が自然と一つになっていく。一つではないんだけど、新しい人が入ってきた時に、「こういうコミュニティがあるよ!」とその人にあった居場所が見つかるじゃないですか。それがやりたいことなんだなと、今すごく感じています。

若者を応援する活動

――(編集部)地元で色々な活動をやってこられたと思うんですが、印象に残っていることはありますか?

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石井:川崎市の高校生が自分でプロジェクトを企画して実行する「カワプロ」川崎ワカモノ未来PROJECT )は面白かったですね。審査員として学生達を見ているんですが、7年間やってきて、このプロジェクトを通して成長した子たちは本当に多いですね。

――(編集部)子どもたちは何をするんですか?

石井:初日に人生を見つめ返し、自分は何をやりたいのか、川崎市の中で一人で何ができるのかを考えさせてます。そうすると、「フードロスについて頑張りたい」とか、「動画を作ってみんなに“普通とは何か”を訴えかけたい」とか、色んな子が出てくるんです。それを大学生のメンターが横につきながら実際に動かす。でも数か月で成果が出るわけではないので、成果になってなくても良いよって話をしたうえで、発表する。自分の欲求とか環境から、何ができるのかを考えて実行に移していくみたいなプロジェクトですね。そこで気づいたことが重要なんだよって周りの大人は伝えるんです。

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――(編集部)とても良い取り組みですね!そういえば、“若者”という繋がりで言うと、立正大学の学生と新城テラスでコラボレーションもしていましたね。

石井:時々、大学生が街づくりの研究材料として取材に来てくれるんです。今回の立正大学の子たちは、「個人商店の集客の方法を考える」テーマで来てくれました。あとは、武蔵野美術大学の学生も来てくれましたね。研究室の発表をここ(新城WORKパサールスペース)でやってくれたり、そこから派生して建築学科の学生と一緒に部屋を作ったりしたんです。

――(編集部)学生と実際に部屋を作るとは斬新ですね。

石井:学生たちが新城の街を歩いて、そこにあるものを全て部屋の中に持ち込むというコンセプトでした。それも雑誌に取り上げられて、ちゃんと入居も決まりました。こうして、若者が一歩踏み出していけるようなことは、これからも応援していきたいですね。

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▲実際に学生たちが作った部屋の様子:MUSA-BUILD(https://www.instagram.com/musa_build_/

新たな物件の1階はコミュニティバーに

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石井:そうだ。今度、つっちー※とここでコミュニティバーやるんです。今日、工事費の見積りが来て・・・(新築物件の1階を指さしながら)

つっちー(土倉康平):約4000人のFacebookコミュニティ「中原おうちごはん」の主催者。武蔵小杉で 株式会社SALT(マーケティングコンサルティング会社)を経営する傍ら、クラフトビアバーの運営やラジオパーソナリティも務める。

――(編集部)新築なのに、もうリフォームするんですか・・・?

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石井:そうそう。コミュニティを作っていかなければいけないので「ここの物件にはそういうのがあっても良いかね」なんて話をしていたんです。ぜひ、RR COFFEEの皆さんもコミュニティバーの1日店長としてお店に立ってください!僕はビジネスとしてもやらなければいけないので場所代をいただく形になるけど、ホームパーティーをやるように友達と一緒にゲームをやるんだって良いし、商売をやるんだって良いと思う。

――(編集部)行動力が凄いですね!何だかワクワクしてきます。個人的に、また新城の街に遊びに来たくなりました!

石井:ぜひぜひ、飲みましょうよ。新城の美味しいお店を沢山ご紹介しますね。

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◆インタビュー・文:和合大樹 Wago Taiki

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