「川崎七福神めぐり」とは
皆さんは「川崎七福神」というものをご存知でしょうか。
「川崎七福神」とは、神奈川県川崎市中原区に古くより各寺院に安置されている格調高い七福神です。
そして、「川崎七福神めぐり」とは、正月元旦から7日までに七福神を祀ってあるお寺を参拝して、一年の幸福を願う行事の事を言います。七福神はこの期間(松の内)のみ御開帳しているので、非常に貴重なイベントです。
お正月にお散歩がてらご利益のある地域の寺院をめぐる事で、再開発の進むベッドタウンとして知られる中原区の、歴史と文化を体感できます。
川崎七福神をご紹介
【恵比寿神】真言宗豊山派 大楽院
【所在地 】川崎市中原区上丸子八幡町1522
【電話 】044-411-7327
【交通機関】東横線新丸子駅東口下車 徒歩6分
大楽院は新丸子駅東口商店街を抜けてまっすぐつきあたりに位置しています。牡丹で有名な奈良県長谷寺の直轄寺院で、御本尊は長谷寺と同じく十一面観世音菩薩です。
徳川中期の『武蔵風土記稿』によれば、境内には本堂の外にいくつかの堂宇を有し境外にも数社を管理し、かなりの寺格と規模を有したと言われています。
本堂内の釈迦如来像は川崎市の指定文化財となっており、境内の恵比寿神やまるこ水子地蔵尊などは、多くの参詣者を集めています。
大楽院が祀る恵比寿神は七福神唯一の国産の神様で、イザナギとイザナミとの間に第三番目の御子として生まれ、蛭子尊(ヒルノミコト)と名付けられました。
初めは漁民の神でしたが、海産物の売買を通して商売繁盛の神となり、商人や農家に信仰されるようになっています。
大楽院では「律儀(道徳と利益を得さしめる)」「福徳(幸福)」と「収穫や良果(良い結果)」との、三つの徳をたたえて恵比寿堂を新築し、安置しているそうです。
【大黒天】真言宗智山派 西明寺
【所在地 】川崎市中原区小杉御殿町1-906
【電話 】044-722-4524
【交通機関】南武線・東急東横線「武蔵小杉」下車 徒歩15分(市バス1番乗場、西明寺前下車徒歩3分)
小杉御殿跡近く、丸子橋方面から見ると正面に近代的な仁王門が目に入りその奥に全容が一望されます。
西明寺の創建は不明ですが、有馬から移されたと言われています。
北条時頼の信仰が厚く、中興開山となられているところから北條氏ともゆかりが深いそうです。
江戸時代は徳川家康が中原街道を通り、小杉御殿で休憩している事から西明寺と縁が深かったと言います。
詳しくはこちら:【小杉御殿町】「西明寺」の歴史と見どころ 江戸を護る最後の砦の成り立ち|なかはらPR
西明寺の祀る大黒天は、もともとインドの闇黒の神でありましたが、仏教にとり入れてからは、仏、法、僧の三宝を護持し、飲食を司る護法人となりました。
その姿は、頭には頭巾をかぶり、手には小槌、袋をかついで米俵の上に立っています。
頭巾をかぶるは「上を見るな、うつむいて働け」との教えです。一生懸命に働くことにより袋には、七宝、足元には米が自然に集まり、また打出の小槌は意のままに黄金を振りまくことができます。
つまり、勤労は徳であり、怠者の頭を打つのが小槌であるという事です。働く事によっていくらでも福を授けくれるので、働く人はぜひお参りしましょう!
【毘沙門天】真言宗智山派 東樹院
【所在地 】川崎市中原区宮内1-11-1
【電話 】044-766-5546
【交通機関】南武線・東急東横線「武蔵小杉」下車(杉40市民ミュージアム経由市バス蔵前下車徒歩1分)
1458年、この地きっての豪族、平氏の流れである石井源左衛門がある時、毘沙門の社があるのを見て、此処を霊地と定めお堂を再建し、一族の墳地としたのが始まりだと言われています。
東樹院が祀る毘沙門天は、四天王の一つで北方の守護神です。
仏法を護持し、常に如来を護衛して、よく説法を聞くことから「多聞天」とも呼ばれています。
昔から戦勝の神として尊崇され、外からの妨を払いのける威光をあらわす神とされています。
外からの妨げとは、それは私達の心の中にある煩悩との戦い、つまり人間の持つ自己中心的なエゴとの戦いです。これを般若の知恵という剣によって断ち切るのです。
煩悩を断ち切りたい方は毘沙門天にお参りしましょう!
【弁財天】真言宗智山派 宝蔵寺
【所在地 】川崎市中原区上小田中1-4-13
【電話 】044-766-8627
【交通機関】南武線武蔵新城駅下車、徒歩8分 大谷戸小学校東隣り
宝蔵寺は、永正17年(1520年)創建、天文年中の再建、原勘解由左衛門勝光を開基としています。
宝蔵寺が祀る弁財天は七福神の中で紅一点の女神であり、インドの学問、技芸の神様です。
しかし、もともとは河川が神格化した水の神様と言われています。このため多くの弁財天の像は池や海岸、水に縁のある場所に祭られています。
仏教では、水が人間の汚れを取り除き、大地を潤し、美しく豊かな国土を生み出す女性を現しているそうです。現在は、弁財、除災に御利益のある女神として信仰されています。
【福禄寿】真言宗智山派 安養寺
【所在地 】川崎市中原区上新城1-9-5
【電話 】044-777-0706
【交通機関】南武線武蔵新城駅北口下車、徒歩3分
安養寺は、永禄10年頃、宥清和尚の開山といわれています。
火災等の災害により多くの古文書等が散逸して詳しくは分かっていません。現在の御本堂は昭和41年に再建されたものです。
安養寺が祀る福禄寿は、中国宋代の道家の説から起ったものだといわれています。
福禄寿という名は、福、禄、寿の三つを兼ねるということから名付けられました。短身、長頭、美しい髭を貯えた老人、持つ杖の頭には、経巻が結び付けられ、白鶴をともなっています。
この経巻は、人の寿命を示し、福は指宝、禄は地位、寿は長命で、この福、禄、寿を兼ね備えた人は、人望のある人として、人々に尊ばれます。
福禄寿神をお参りすることによって、人望(福、禄、寿)を得ることができると言われているので、人望が欲しい方はこちらをお参りしましょう。笑
【寿老神】真言宗智山派 無量寺
【所在地 】川崎市中原区中丸子498
【電話 】044-411-4184
【交通機関】南武線平間駅下車 徒歩10分
無量寺は、天正年間(1580年)に覚源和尚により開創され村の豪士、野口七左衛門は、無量寺を野口家の菩提寺としました。本堂は昭和20年4月戦災に逢い、寺宝は残念にもほとんど焼失してしまったと言います。
現在の本堂は、昭和29年に壇信徒の浄財により再建されたものです。
無量寺が祀る寿老神は中国の寿星で、唐宋の古画には、群仙の一人として扱われています。
日本では、七福神のうち延命長寿の神様で、その姿は老人で白髭を垂れ、身の丈三尺、長頭で鹿をともなっている。福禄寿さまと一体とも言われ、長寿の徳を強調しています。
【布袋尊】真言宗智山派 大楽寺
【所在地 】川崎市中原区木月4-22-32
【電話 】044-411-3725
【交通機関】東横線元住吉駅下車 徒歩15分
大楽寺の開山は詳しくわかってないですが、中興開山は法印智法、天文6年(1741年)3月23日とされています。
現在の本堂は鉄筋にて、近年再建されたものです。
そして、大楽寺の祀る布袋尊は七福神のなかで唯一実在の人物です。小柄で腹は大きな太鼓腹、いつも半裸体、一本の杖を持ち、袋の中には身の廻りの品物がはいっているとされています。片時も離すことが無く、転々と歩く天真爛漫な人物です。
名利を追うこと無く、いつも呵々大笑しており、その太鼓腹は度量の広い太っ腹な心を現しています。布袋尊は、家内安全、学業成就にご利益があるとされています。
川崎七福神めぐりの方法
専用の色紙を購入し、各寺院にて各神(七福神)のご朱印を頂きながら、七つの寺院をまわっていきます。
色紙は各寺院で購入が可能なので、スタートする寺院で購入しましょう。順番は特に決まっていません。
ご朱印帳代(色紙代)1枚あたり 300円
各寺院 七福神ご朱印代各200円(合計1,400円)
全てまわるのには、徒歩で約5時間、自転車で約3時間、公共の交通手段を利用して移動した場合、約2時間30分ほどかかりますが、私は徒歩をオススメしています。
地元を歩くと、普段は見えない景色であったり、気になるお店なども発見が出来ます。また、年末年始で飲み過ぎたり食べ過ぎたりした方には、適度な運動が持ってこいですね!笑
今年のお正月は、ぜひ中原区で「川崎七福神めぐり」をしてみてはいかがでしょうか。
参考:川崎七福神めぐり