令和4年2月。冬の寒さが残りつつも、徐々に暖かくなりはじめた等々力緑地には、子ども達の賑やかな声が響き渡っていました。この日は土曜日という事で、毎週恒例の小学生向け陸上教室の開催日でもあります。
川崎フロンターレを始めとしたスポーツチームをいくつも擁し、「スポーツのまち・かわさき」と謳っている程スポーツが盛んな川崎市ですが、その一大拠点が中原区の等々力です。
果たして等々力には、どんなアツい想いを持ったスポーツ選手たちがいるのでしょうか。
今回は、日本一を目指す現役陸上選手ながらも等々力緑地で陸上教室を開いている若手講師、小川拓夢さんにお話を伺ってきました。
静岡県出身。小学校3年生〜現在まで陸上競技短距離選手。今は子どもたちに陸上競技を中心に足を速くすることはもちろん、スポーツを通じて子どもたちの心と体の成長伝えている。
〈記録〉
100m:10秒3
200m:20秒8
原点は「”脱“熱血指導」。キーワードは「楽しむ」。
小学校3年生の時から陸上競技を始め、100m、200mではU20日本代表に選ばれるなどの実力を持つ小川さん。
現在は静岡から上京して、現役陸上選手として日本一を目指すかたわら、等々力の催し物広場で小学生向けの陸上教室「Grow Sports 川崎校」の講師を務めています。
小川さんは、どんな活動をされているのしょうか?
―――(小川さん)「”心と体の成長”をテーマに、『Grow Sports 川崎校』という所で子ども達に走り方を教えています。前提として、子ども達が『体を動かすのが楽しい!』と思えるような教室にしていて、運動を楽しみたい子と陸上の記録を伸ばしたい子のどちらにも満足してもらえる様に心がけています。」
「子ども達には『楽しみたい!』『記録を伸ばしたい!』など目的を持って参加してもらい、目的が違う子同士もそれぞれ協調性を持って活動出来るように取り組んでいます。」
実際、私自身は陸上が苦手なのですが、そういう子どもでも運動を楽しめる様な工夫ってありますか?
―――(小川さん)「例えば、スキップのリレーや後ろ歩きでのリレー。あとは動物の歩き方のモノマネなど、楽しみながら体を動かせる運動を取り入れています。」
子ども達が運動を楽しめる陸上教室を開いている小川さんですが、その原点は「”脱”熱血指導」。
自身の経験から、熱血指導によって勝利至上主義に陥ってしまったり、子ども達の可能性を潰してしまう事に危機感を持ったと言います。
―――(小川さん)「部活で勝ち負けにこだわるのは良いと思います。でも、”体育”で勝ち負けに重点を置いてしまうとスポーツ自体が嫌いになりかねません。私自身の過去の経験からも、そう感じています。」
「小学生のうちはスポーツの土台作りが大切です。Grow Sports川崎校では、体や人格、他のスポーツの基礎となる”土台”を、陸上教室を通して楽しく身に付けられるようにしています。」
前職は私立の一貫校に勤めていた小川さん。
「もういいかな。」
小学生時代に陸上クラブに所属していたものの、中学生になって陸上を辞めた生徒から、こんな声を聞いたと言います。
このような様子を見ていて、改めてやらせすぎて燃え尽きさせる熱血指導に課題意識を持ったそうです。
過去の経験を転機として、純粋にスポーツを楽しめる環境づくりにアツい想いを持って取り組んでいる小川さんの姿は、子どもの様にワクワクして見えました。
等々力を拠点に陸上指導。川崎市の子どもは他の地域よりも○○○が多い!?
もともとは地元の静岡で教えていたという事ですが、等々力で陸上を教える中で、川崎市の子ども達の特徴って感じる事はありますか?
―――(小川さん)「川崎市の子ども達には、習い事の多さに驚かされました。笑」
「静岡では”塾とピアノ”など、だいたい2種類くらいでしたが、川崎市では色んな習い事に通っている子がいる印象です。塾だけで2か所通っていたり、みんな大変そうだなと思います。」
「また、中学受験をする子が多いので、こちらでもその辺のスケジュールや子どもや保護者へのケアは心がけています。」
たしかに・・・!言われてみればそうかもしれません。かく言う私もスイミングに絵画教室、塾やダンス教室など、色々通っていた記憶があります。
他に川崎市の子どもの特徴ってありますか?
―――(小川さん)「あとは、川崎市の子どもって大人っぽいんですよね。良い意味で真面目というか・・・。」
「だからこそ、のびのびと動けて遊べる環境づくりが大事だなと思っています。その延長線上に、足が速くなったり運動能力が上がっていく環境づくりがあると思うんです。」
目指すは「笑顔の連鎖」。街とスポーツが混じり合う「中原区モデル」を全国へ。
この活動のゴールってなんでしょうか?
―――(小川さん)「”世界中の子ども達を笑顔に”です!」
「その為にもまずは、身近な子ども達を笑顔に出来るようにしています。そして、ここ等々力で陸上を学んだ子ども達が、周囲の方々を笑顔にしていく事が出来たらと思っています。」
「また、中原区は地域にスポーツが根付いており、地域とスポーツの関わり方が理想的だなと感じます。特に、川崎フロンターレが2連覇した際には、『2連覇”ありがとう”』という横断幕が商店街にかかっていて感動しました。普通は”おめでとう”なのに、”ありがとう”って所が素敵だと思います。こんな街を全国に広げていきたいですね。そして、サッカーやバスケと並んで、いつか陸上チームも中原区に根付かせたいです。笑」
それでは最後に、小川さんが講師を務める「Grow Sports 川崎校」と、その拠点でもある中原区の魅力を教えて下さい!笑
―――(小川さん)「『Grow Sports』では、最初にも述べたように”心と体の成長”を掲げています。陸上を通して足が速くなるだけでなく、楽しく運動が出来て心も成長する陸上クラブという所が魅力です!あとは、日本一を目指す現役陸上選手が講師をしているというのはかなり珍しいので、興味のある方はご連絡お待ちしています!」
「そして中原区の魅力は、外から来た人でも受け入れてくれる暖かさです!静岡からここに来てから、様々な人と出会って美味しいお店も沢山教えて頂きました。都会っぽい雰囲気なのに、ここまでアットホームな街なのは本当に魅力的だと思います!」
中原区の暖かさ、やっぱりイイですよね!私も中原区のアットホームな雰囲気が大好きです!
本日はありがとうございました!